オサレ山攻略作戦
の巻





ブロロロ…






目は覚めているかNPKMOT(那智南夢軍団山岳作戦隊)! 


「おはよう。」
「おっはよー!」


よし、本日の行程の説明に入る。聞き洩らすなよ。まずは前方作戦基地 牧水公園から作戦区域まで車両で移動する。国道446号、県道22号を経て林道に入り、ひむか神話街道へ接続する。そこから北方へ進めば作戦区域だ。ここからの車両の移動は1時間以上を要するが、うたた寝をしている余裕はないぞ!しっかり地図に目を通しておけよ!

目標地点は宮崎県西都市内に属する山岳地帯にある『オサレ山』だ。このふざけた名前の山の山頂を制圧するのが今日の俺たちの任務だ。全く何がオサレ山だ!こんな山、大都会のモデル気取りの無職共にでも登らせておけばいいんだ! しかしどんなにバカげた名前の山であっても、任務とあれば必ず制圧する!それが俺たちNPKMOTだ!ウーラー!


「うーらーw」
「えと、何このノリ…。ひょっとしてずっとこの調子で行くの?」
「なんかたのしーね、ミナw」
「えぇ〜、楽しいのかなぁ?」





今回は車両を降り、作業林道入口から侵入し、北回りに進む。そして途中から登山道へと分岐する。作業林道入口から山頂までの標高差はたったの215mしかない。多少のアップダウンがあったとしても、こんなもの俺たちには容易い!超余裕だ!そうだろう!?

「いえーい!」
「は、はい。」




よーし準備しろMOT!迅速に行動し、山頂を目指すぞ!

『らっじゃー!』




0755
オサレ山攻略作戦 開始


『行ってきまーす!』


ティナ:「えへへー、やっとミナと一緒に山登りが出来るよー☆」

ミナ :「あ、そっか、ティナとは何度も出かけたことはあるけど、
     登山だけはしたことなかったもんね。」


ティナ!初任務だからって浮かれるなよ!気を引き締めて行け! どこに危険が待ち構えているか分からない、それが山だ! そこにMOTとして足を踏み入れる以上、相応の覚悟が必要だぞ!


ティナ:「了解です隊長! 油断せず、気を引き締めていきますっ☆」

ミナ :「私、いつの間にか勝手にMOTに入れられてたけど、そんな覚悟とか
     ないよ…。行くなら安全安心な場所だけにして欲しいんだけど…。」




ミナ:「うわ、石が落ちているよ。大丈夫かなぁ。」





ティナ:「すっごーい! 道が壊れてるよー! ひゃー!」

ミナ :「ちょっと、何この道。これ本当に危ないやつじゃないの…?」


この程度問題ない! 歩みを止めるなMOT! 下手に止まるとかえって崩れる恐れがあるぞ! 慎重に、しかし迅速に抜けるんだ!



………








ミナ :「あのー、『登山では引き返す勇気も必要』って聞いたことが
     あるんだけど…。ここまで幾つ崩れてたか見てきたよね?」

ティナ:「えー、折角ここまで来たんだよー。進もうよミナー。」


うむ、ミナの言う事は正しい。しかしまだその時ではない。見た所ここ数日で崩壊した様な物ではない。崩れるものはある程度崩れ落ち、比較的強いものが残っているとみるべきだろう。


ミナ:「そんな素人の適当な見立てなんて信用できる訳ないよ…。」




ティナ:「あー、雲が出てきたー… わ、雨が降って来たよ〜 ひゃー」

ミナ :「いよいよアウトだよ今日の登山!」




なぁミナ、基本的に我々はこの様な気候の時に作戦は実行しない。しかし今、こうなっている。ならばこの希少な機会を糧としなければならない。この困難な状況を切り抜け、より困難な状況への対応力を身に着けねばならない。幸い今回は比較的平易な作戦だ。経験値を得るにはいい機会だとは思わないか。


ミナ :「うーん、そう言われると…。うーん、せめてアンネがいてくれれば
     心強いんだけど…。」

ティナ:「私がいるよミナ!何があってもミナを守るからね!」

ミナ :「何かあったら3人とも終わりだよ…。」


よし、もう少しで登山道との合流点だ。進むぞMOT!



………




ティナ:「おっわー!すごぉい! 道が全部なくなっちゃってる!」

ミナ :「うわ…。これは流石にゲームオーバーだね…。」


…あぁ、これはダメなヤツだ。くそっ、どうしようもないな。悔しいがこいつは作戦続行不可能だ。崩落の箇所の多い作業林道ではあったが、よもやこの様な事にまでなっていようとはな…。


※赤色加工した部分が作業林道



………




ミナ :「と思ったら、登山道との合流地点がここより手前だったよ。」

ティナ:「隊長ー!地図を見間違えたでありますかー!?」


こ、こほん、すまない… で、では気を取り直してこの急坂を一気に行くぞ! これを登りきれば尾根に出る。そこが登山道だ。よし着いてこいMOT!


『いえっさー!』



………





ミナ :「ふぅ、かなりきつかったよ…。」

ティナ:「ミナよく頑張ったね! 偉いよー!」

ミナ :「ふー。本当にティナは元気だよね。
     断然私より先にMOTに入るべき人材だよ。」


うむ、実は装備が中々整わなくてな。山岳作戦隊にはそれに相応しいそれなりの装備が必要になる。単なる外出用の服を揃えればいいと言う訳ではない事は分かるだろう。


ミナ:「ふむー、確かに。」




ティナ:「お花が咲いてるよー。どこを見ても、この種類のお花だけが
     咲いているんだね。」




ミナ:「ツツジ…なのかな? ちょっとした心の安らぎだよ。」




ミナ :「マーカーもあるし、崩壊の可能性の無い登山道の頼もしさと
     言ったら。」

ティナ:「時々見失っちゃうマーカーを探しながら行くの、楽しいね☆」




かなり雰囲気があるな。地面も落ち葉がクッションになってすごく歩きやすい。しかし時々濡れて滑るから注意しうわっ!!!

…こうならないように注意する様に…。



………




よし、集合!


 

0955
オサレ山山頂エリア 制圧完了



『やったー! お疲れ様でした!』



よくやったMOT! 予想外の困難を退け、見事に目標を達成したぞ! やはりお前たちMOTは本物だな!俺は嬉しいぞ! 俺が褒めるなんて事は滅多にないが、今日のお前たちはそれ程の成果を上げたって事だ! 

よし、休息をとる。短時間だがしっかり体を休めておけよ。


『はーい』








ミナ :「しかしここ、事前に聞いていたとはいえ、見事に何も見えないね。」

ティナ:「ねー。ちょっと残念。でもミナと一緒に来れたから、私はそれだけで
     だーいまーんぞーく☆」


よし、マットを設置した。この上に座るといい。





ティナ:「ありがとうっ、気が利くぅー☆ そう言えばこの前買って貰っ
     たこの登山用の靴、ミナと私のって色違いのお揃いだよね♪」

ミナ :「ありがとう。うん。あ、でもこれ、アヤカさんとナツミとも
     お揃いだと思うよ。」


登山靴として使えそうな靴というのはあまり種類がなくてな。綾華がティナと、夏深がミナと同じ色だ。ミナとティナで同色にしようかとも思ったが、一旦脱ぐとどちらがどちらの靴なのか分からなくなるのは困るだろう。






さて、こちらも軽食をとるとするか。別府湾SAで買っておいた卵蒸しパンだ。うむ、美味いな。




…しまった、消費期限切れのこいつを食べなければいけないのをすっかり忘れていた。

ティナ:「なにこれ。堅パン…?」




ミナ:「うわ、堅すぎだよこれ。食べられるの?」



はは、問題ない。ガリッガリッ 歯や顎の弱い者には危険な代物だが、保存、携行、栄養、どれをとっても山岳作戦向きだ。味も良いし、包装内に空きスペース無くびっしり5枚入っているから、量も意外とある。普段は車載用非常バッグに収納しているが、少々規模の大きい山岳作戦に参加する際はバッグごとリュックに収納し、携行している。そもそもが非常食として優秀なのだ。うむ、また新しい物を購入しておかなければな。



………





十分な休息は取れたか? ではこれより回収地点へ移動する。まぁ、早い話が登山口、タウンのエースの場所へ引き返す訳だが、山頂を制圧したからと言って油断するなよ。ここは俺たちにとってアウェーなんだ。帰路とはいえ常に周囲を警戒して進むぞ。よし、時間だMOT!靴紐を締め直せ!


『いえっさー!』


1035
回収地点へ移動開始





ティナ:「それにしても霧というかモヤというか、すごいねー」
  ミナ:「山では”ガスがかかる、ガスが出る”って表現を使うよね。」




こいつによって道迷いや滑落が引き起こされるからな、注意しろよ。

ミナ :「あれ、隊長…さん、道はそっちじゃないと思うんだけど。」


ん? そうか? …そうだな。マーカーを見失ったか。うむ、少し引き返す。
GPSがあるとはいえ、道を外れたらまずは戻ってルートに復帰する。戦術教本通りだ。やるじゃないかミナ。帰ったらクッキーをやるぞ。


ティナ:「さっすがミナー☆」

ミナ :「ちゃんと家に帰りたい一心だよ…。」




よし、まずは作業林道との合流点に着いたぞ。




ここに二つの選択肢がある。


山頂を攻略する際に使った北ルートと、谷底を抜ける南ルートだ。北ルートの状況は身をもって確認したな。酷い有様だった。あれを再び抜けるか、状況が未確認ではあるが、良好な状態を期待して南ルートを抜けるかだ。




ミナ :「難しい所だよね…。南ルートがもっと酷い状態って事もあり得るし。
     谷底に向かう道って言うのが、崩壊率が高い気がするよ。
     うーん、やっぱりあれはあれで嫌だけど、状況がはっきりしている
     北ルートが無難かな。」

ティナ:「えー! 折角だから歩いていない方にしようよー! 行きの時だって
     ちゃんと行けたんだから、こっちだって行けるよー、ね〜ミナ〜。」

ミナ :「だから安全を何よりも優先させないと…。」


うむ、ミナの言う事は毎度正しいな。しかしどうせあの北ルートを通るのなら、南ルートが崩壊していたとしても、通る道は同じ様なものだな。それなら南ルートの状況が良好な方に賭けてみるのもいいと思わないか?


ミナ :「だから北ルートより酷い可能性もあるって話で…。
     もう、どうせ最初から南ルートを使うって決めていたんでしょ。」


はは、よし、決まりだ。南ルート、谷底を抜けて行くぞ。ここも一応作業林道だ。それなりに道にはなっているはずだぞ。では前進する!



………




ミナ :「やっぱり…。どうせそんな事だろうと思ったよ。」

ティナ:「本当にミナの言う通りだったー! こっちも酷いよー!」

ミナ :「ん!? ちょ、ちょっとこの先はシャレにならないよ!北ルートより
     遥かに崩壊してる! 斜面を抜けないと通れないでしょ!危ないって!」


酷い有様だな…。よし、ミナ!ティナ!俺のダンプポーチに入れ! 頭を出し、体を固定するんだ!この斜面を一気に抜けるぞ! 無駄話をしていると舌を噛む!黙って振り落とされないように踏ん張っていろ! 俺たちはMOTだ!これくらいどうってことは無いさ! よし行くぞ! 






くそっ!ザレ場は足を置いた瞬間から崩れだしやがる!
足先を地面に突き刺しながら進むっ!







………





ミナ :「生きた心地がしなかったよ…」

ティナ:「無事に抜けられて良かったねー☆ ほんとすごかったー。
     本当に危なくて写真はあまり撮れなかったのが残念だったね。」

ミナ :「あ〜も〜、そんなのどうでもいいよ〜。はぁ〜。」


しかしあの道、既に先を歩いたものがいたようだな。踏み跡が残っていたお陰で、足を置く場所の選択がかなり楽になった。ここは素直に感謝しておくとしよう。しかし俺たち以外にこんな所に来る物好きがいたとはな!ははは! それよりもミナ、この谷底の景色を見てみろ。心が落ち着くだろう。




ミナ :「ふぅ、そうだね。本当に穏やかな場所だよ。」

ティナ:「ほらー、こっちのルートを通って正解だったでしょ?w」

ミナ :「いや、流石にあの危険とは全然釣り合ってないから不正解だよ…。」


よし、ここから登山口までは作業林道が比較的生きている様だ。もう一息だMOT、最後に笑うのは俺たちだぞ!



………




ティナ:「ごーーーーるぅううううう☆☆☆」

ミナ :「無事に帰ってこれた〜 はぁ〜〜〜」


よし!ひむか神話街道、車道に出た! 本当に谷底から車道までは楽勝だったな! 回収地点はここから200m先だ。行け行け!




1225
回収地点到達


よし、最後に皆で叫ぶぞ!


『那智南夢軍団山岳作戦隊、オサレ山攻略完了!』



全く最高だなMOT! よくこの困難な作戦を一人の負傷者もなく完璧に成し遂げ た! 平易な作戦だと思われていたものが豹変し、牙をむいたが、その牙をへし折り、熨斗を付けて投げ返してやったんだ! そうだ!それこそが俺たちMOTだ!

ミナ! 常に冷静に状況を判断し、危険の回避を優先する姿勢は実に素晴らしかったぞ!お前みたいな者が隊には必ず必要だ! そしてティナ! MOT初任務にもかかわらず、臆することなく見事に状況に適応したな!流石だった! そしてお前の常に明るく前向きな姿は、ミナにとって非常に心強かっただろう! 

俺たちMOTはこれからも幾度と作戦に投入されるだろう。しかし俺の作戦経験の中でもかなりの上位難度だったこの今日の作戦を成し遂げたお前たちなら、全て問題なくこなせると断言する! 今日の作戦を深く胸に刻み、これを成し遂げたことに自信と誇りを持て! お前たちは、俺たちは誇り高きMOTだ!ウーラー!


ティナ:「うーらーーー☆」

ミナ :「う、うーらー… 結局最後までこのテンションだったね…。」



………



ミナ :「いやほんと、無事に帰ってこれたから良かったようなものの…。
     本当にこういうのはもうやめた方が良いね、うん。何事も安全が
     最優先だよ…。」 


はい、よく肝に銘じておきます…。そして改めて、ミナちん!ティナちん!オサレ山登山に一緒に来てくれて本当にありがとう! これ、一人だったらマジで精神的にやばかったですわ! やっぱり登山は女の子と一緒に限りますねw

はい、そんなこんなのオサレ山登山でしたとさ、おしまい☆