8・10




〜くじゅう黒岳 天狗岩登山〜




当日の朝は午前5時に目が覚めました。

夏場とは言え、高原は涼しいどころか肌寒く、タウンのエースで就寝中、夜中にブランケットを引っ張り出してしまうほどでした。この時間もやはり肌寒く、早々に山登り用の長袖シャツとズボンに着替えました。




「それでは、くじゅう男池登山口より大船山へ向かう山岳教練、開始ですわよ!」

はいっ!宜しくお願いいたします!


と言う訳で、午前6時半、出発です! と、まずは登山届けを書かないと…




「流石に朝の山は涼しくて快適ですわね。」

夏というのが信じられないほどの快適さ!
汗も全く出ませんよ! こいつはいい!




「まずは30分で”かくし水”に到着ですわ。ここで飲料水を補給しますわよ。」

了解! 背中のハイドレーションに2リットル給水完了です!




「朝日が差し込む森林地帯、とても清清しいですわね。」

本当に〜。日が葉を照らした黄緑色のなんと美しいことか〜




お嬢様、その、私が言えた義理ではないのですが、
装備がかなりしっかりしてらっしゃいますね。

「当然ですわ。教練ですのよ、遊びではありませんもの。
そもそも山は自然と己との闘いの場、戦場でしてよ。」

で、ですよね! なので私もこの格好なのであります!


そんな話をしながら途中、「ソババッケ」や「奥ゼリ」等のポイントを通過します。しかし地図から考えていた以上に距離が長く感じられ、えー、まだここなの!?と何度も泣きそうになりました…。やはり所要時間の目安の1.5倍の時間かかってるぅ〜。

午前9時、奥ゼリを過ぎてから登山道が岩道になっていまして、濡れた苔むした岩の上を歩き続けるステージ。とにかく慎重に進まなければならず、ペースも超ダウン。1回の転倒でなんとかこのエリアを乗り切りました。GJ!




「所々にこういう開けた場所がありますわ。
例えがおかしいですけれど、オアシスの様な感覚ですわね。」




「まぁ! この路肩の草の美しいこと!」

ほんとだ! フサフサーって感じですね!




そして中間点。天然の冷蔵庫”風穴”に到着です。
うは〜、急な登りとかはなかったけど、地味に疲れたなこれは〜。
出発から丁度3時間経過していました。ここで一休み。ふぃー。

「全くだらしないですわね。これからが本番ですのよ。」

そうです、ここから急な斜面を一気に駆け上がるステージ…。
呼吸を整え、覚悟を決め、いざ!



いざ…?




「おかしいですわね。ここから大船山に向かう標示がありませんわ。」

んー? どうなってるんだ〜?
簡易地図を見てもこの少し手前から道が伸びているはずなんだけどなぁ。


少し引き返してみるも、それらしい登山道はなく。ひょっとして危ないから廃道にしたとか? ええー、まいったなぁ。ここに来る随分手前には、大船山への別の分岐点がありましたが、流石にそこまで引き返してとなると時間が…。

と言う訳で、仕方なく目的地変更。この標識にある「黒岳」の”天狗岩”へ向かうことにしました。大船山はまた次に取っておくぜ! よーし、では再出発!




「あら、こちらはこちらで急坂がかなり続く道のようですわね。丁度良かったですわ。」

うわ、まじかよこれ…

確かに覚悟はしていたけど、それは大船山への覚悟で、行き先を変更するという気分がやや萎えてしまった状態でこれはなぁ〜 とは言え、行くしかないっ。いざいざ天狗岩へ!





はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ!!!!







んっがぁああああ!!! うはー!!!

「何を叫んでいますの、見苦しいですわね。ようやく尾根に取り付きましたわ。」

1時間急坂を登りっぱなし! まじきつかったぁああ!
これを40分で登るのが標準とか冗談だろ… 写真を撮る余裕も無いほどでした。うへ〜




「さ、見えてきましたわ。」

へ?




えええええええ!!??


あの、これが天狗岩なんですか?

え、これ登るんですか? まじで?

「何を言っていますの。早く行きますわよ。」




ちょ、なんだよこれ! マジな岩登りじゃないか!

よもやこんな事になっていようとは…。しかもロープや鎖なんか一切無しですよ。自分の力で這い登れ!ですよ。くっそー、ここまで来たんだ! 登ってやるさちくしょー! 新しく買った安全手袋を装着し、いざ参るー!




なんか登山道の目印テープがあるけど、こんなの全然登山道じゃないんだからねっ!

滑って岩の間に足が挟まったとかなったらどうしてくれるんだよ…。

「ほら、両腕でしっかり岩を掴んで、よじ登りますわよ。」

ひー!





そしてついに…




「午前11時半、天狗岩、登頂完了ですわ!」

やったー!!! ばんざーーーい!!!




「取り敢えず、貧弱なあなたにしては多少は頑張った、
という所かしらね。一先ずお疲れ様ですわ。」

ははー!ありがとうございます! いやー、1時間急坂を登った後でのこの岩登りとかなぁ〜。これは堪えました。しかし流石はお嬢、こんな岩山を登っても、涼しい顔のままでいらっしゃる!




ほんっとよく登ったなぁ〜。達成感ハンパネェ!




天狗岩の真横にそびえるのが、本来登るはずだった大船山。
今度登ってやるからなー! 待ってろよー!




「残念ながら、阿蘇方面は霞んでいますわね。」

惜しいなぁ。飯田高原とかきれいに見えてたら素晴らしい眺めだっただろうなー。
あ、でも由布岳がかすかに見えますよ!やった!




「しかし、展望は一見開けているように見えて、目の前にここより高い
大船山と高塚山がありますから、遠望は利きませんわね。」

う、うーん、それは確かに…。


ちょーっと期待はずれな感は否めませんが、まぁ、この岩登りという特殊ステージが備わっている登山ルートだったということで、経験値的にまるっってことで! この岩山の上で食べるおにぎりも美味しかったですしね☆



 さてさて、天狗岩の山頂に立つべく岩山をよじ登り、なんとか到着しましたが、今度はこれを下りなければいけません。





まずは下準備。お嬢の落下を確実に防ぐため、エスケープポーチの口を閉じ、マジックテープでしっかり固定です。え、それよりもバッグの中にしまえって? ご、ごもっともです…。いやいや、共に危険を乗り越えてこそ、絆が深まるというものですよっ。




そして気休めながら、おもちゃのヘルメットを装着!

くじゅうは火山だからと、お遊びの演出で持って来ていましたが、折角なので。
こういう場所で使わなくてどこで使うんだ!

まぁ、予想に反して人に見られて恥ずかしい思いはしましたが…。




そんな大袈裟な準備をして、午後0時50分、いざ岩下り!




ひー怖い怖い!

「だらしが無いですわね。山岳猟兵のわたくしの父など、平然と進みますわよ。」

山岳猟兵だからですよ! そんなのプロじゃないですか!



ふーーー、なんとか無事に下りれた! バンザイ!




そして今度は急坂を下るのかぁ…


特に地面が小石だらけのガレ道。急坂でこれはすごく滑るのこれもまた危ないです。阿蘇山で急坂を下る際に頭から転落した経験があるので、もうここもヘルメット被ったままでいいや! 途中また人に遭遇したので、そっと脱ぎましたがw




「あら、飲料水が切れたみたいだけれど、大丈夫なの?」

気が付けば2リットルの水を飲みきっていました。だーよな〜。


ずるずると滑りながらなんとか急坂を下った所で、救急バッグに入れている非常食用の飲料水500mlを取り出して、その後ちびちび飲みながら進みましたが、あっという間にこちらも無くなり、最後は非常食のウェダーインゼリーで喉をごまかしましたw いやー、持っておくものだなぁ。


そんなこんなで”奥ゼリ”に午後3時、”ソババッケ”に午後3時半、そして午後4時10分に、登る際に給水をした”かくし水”に。ふーーー。




そして、行きがけには寄らなかった名水「男池」へ。

すげー、なんだこの澄んだ水!
ありがたくハイドレーションと空のペットボトルに汲みました。




午後4時50分、ようやく登山口へ! ばんざーい!
ぬあーーーー疲れたっ!

「はい、お疲れ様。ルートを変更したりもしたけれど、
そこそこ歩き甲斐のある山道でしたわね。」


ひゃー、ほんとこのルートきっついわー。えっと、午前6時半出発したから…え、10時間以上? 天狗岩で1時間以上過ごしたり、風穴辺りで分岐を探して30分ほど無駄にしたとは言え、この時間、マジかよ… なんだか今の己でこのルートで大船山に登る自信なくなってきちゃったよ…。祖母山も大丈夫なのかねぇ…。でもまぁ、ちゃんと明るいうちに帰ってこれたしね! よしよし!




駐車場のタウンのエースに戻って、休憩〜。

ザビーネお嬢様も、男池の名水をどうぞー。

「あらありがとう。」





「ふぅ。子どもの頃に父と登ったアルプスで飲んだ、
雪解け水を思い出しますわね。美味しいですわ。」

それは何よりでございます☆


目的の大船山には行けませんでしたし、山頂からの眺めももう一つ物足りない感はありましたが、天狗岩を攻略出来たのは、それはそれで嬉しかったです。”天狗岩クライマー”のトロフィー解除!w 今回は山中の癒しに加え、岩登りの冒険までして、充実しすぎた内容でした(笑) やっぱり山登りは楽しいです! まるっ!



 さー、山登りの後はー!




「温泉ですわね♪ あなたと一緒というのは不本意ですけれど。」

そ、それは流石に仕方が無いです…。




『はぁ〜』しみるぅ〜! 登山の後の温泉は特に最高ですね!

「ええ、本当に。はぁ〜///」





「更にはこの響き渡るヒグラシの声。たまりませんわね。」

すごい、これは予想していなかった! 風流すぎるー!
ヒグラシの声が大好きなので、もう幸せMAXな貸切温泉1時間でしたとさ☆


おわり